深層筋をつけるメリットとは
深層筋って知ってますか?
深層筋はインナーマッスルともいい、表層筋(アウターマッスル)と区別して扱われます。
それぞれの筋肉が、深層筋なのか表層筋なのか、明確に決められているわけではありません。深層筋とは、骨に近い体の深い部分にある、比較的小さな筋肉で、姿勢を維持したり、関節を安定させる役割を持っています。
要するに、生活に必要な筋肉であり、インナー優位の体を作ることで、生活が楽になります。
併せて、ダイエット効果も高く、太りにくい体を作ることもできます。
深層筋をつけるメリットを挙げてみると、
・姿勢が良くなる。
・いい姿勢を維持しやすくなる。
・肩こり、肩痛や腰痛など、生活習慣から来る筋肉や関節のトラブルが減る。
・持続的にエネルギーを消費するので、ダイエット効果がある。
・太りにくい体質へと変化する。
・体温も上昇し冷え性が改善する。
・免疫が上がり、さまざまな体の不調(不定愁訴)が改善する。
・PMSや更年期障害にも効果あり。
・インナーが主体的に働き始めると、アウターマッスルの役割が少なくなり、使わないアウターは自然に落ちていくことになる。
・つまり、インナーを鍛えてもムキムキにはならず、見た目はかえって痩せる。
・時間を掛けて身につけたインナーは、アウターより落ちにくく、持続可能なスリム体型を生み出す。
・ただし、長期間サボると元に戻るよ(笑)
・ムキムキの筋肉体型も、インナー(土台)から付けていくと美しく仕上がる。
どう!深層筋の重要性分かったかな?
深層筋と表層筋 その違いとは?
解剖学、運動解剖学的に捉えた違いを挙げてみました。
ヨガでもピラティスでも、ジムでも、スポーツでも、両者の違いを理解して、ターゲットを絞って鍛えることが重要です。
身体を整え、生活の質を上げたいのなら、インナーマッスルに重点的にアプローチする動きがオススメ。アウター優位の激しいスポーツでも、インナーを鍛えることで、より高いパフォーマンスが期待できます。
●インナーマッスルとは
① 深層(インナー)にあり、手で触れにくい。よってメンテナンスもしにくい。
② 関節周りの小さく短い筋。単関節筋が多い。
③ 小さな力で長時間働き続けることが多い。
④ ゆっくりした動きや姿勢の維持など、小さな力を持続的に発揮し、地味に働く姿勢筋。
⑤ 大きく動かすとき、アウターより先に収縮し、関節を安定させるスタビリティを地味に担っている。
⑥ 持続的な小さな負荷で鍛えられる。
⑦ しつこい肩こり・肩痛や腰痛の原因になりやすい筋。
●アウターマッスルとは
① 表層(アウター)にあり、手で触れやすい。よってメンテナンスもしやすい。
② 大きく長い筋。二関節筋や多関節筋が多い。
③ 使うときだけ働くことが多い。
④ 派手な動作や、大きな力を必要とするときに、主導的に働く動作筋。
⑤ 激しい動きや、体を大きく動かすモビリティを担う筋。
⑥ ジムで鍛えてムキムキにする筋。
⑦ スポーツ後の筋肉痛や、一時的な肩こりの筋。
体型に見合った十分なインナーがついていないと、インナーフル稼働、プラスその役割をアウターが果たさなければならないため、肩こりが続いたり、ムキムキの脚になったりします。
インナーを正しく使うためには、正しい姿勢も重要です。
ヨガで深層筋がつく これってホント?
深層筋=小さな筋肉
表層筋=大きな筋肉
ざっくりとこんな感じです。
人間の体では、無駄なエネルギーを使わないという、究極の省エネシステムが働いています。
筋肉が作動するシステムも同様です。小さな筋肉で済ませられるときには、大きな筋肉は動員されません。
例えば、肘を屈曲させる筋肉として、上腕二頭筋は有名ですね。腕の力こぶの筋肉です。あまり知られていませんが、上腕二頭筋の下に、上腕筋という短い深層筋があります。
肘を曲げて荷物を持ち上げるとします。
負荷が小さいときは、エネルギー消費量の小さいインナーの上腕筋が最初に働きます。しかし、負荷が大きかったり、動かすのが早かったりすると、アウターの上腕二頭筋も働きます。
なのでインナーの鍛え方は
ズバリ!
アウターをできるだけ働かせないこと。
つまり、小さな負荷でゆっくり動く。
または小さな負荷で静止し、姿勢をキープする。
もうお分かりですね。
ヨガをやればインナーが付くというのは、必ずしも正しくはありません。動きが速く力強い、パワーヨガやヴィンヤサヨガは、アウター優位で動くことが多くなります。
インナー優位のヨガとは、
① 意識的にコントロールした呼吸、
② ゆっくりした動き、
③ そして長めのポーズキープ。
意識的にゆっくり吸ってゆっくり吐く。
この呼吸のコントロールをするのも、インナーである呼吸筋です。
自分が何を目指したいのかを考えて、ヨガの種類を選ぶと良いでしょう。
ヨガと整体 何ができる?
病院の整形外科に行って検査をしても何も異常がなく「運動して下さいね」で終わる。
あるいは、整形外科的な治療をして、リハビリ期間が終了し「これで様子見て下さいね」で終わる。
不調が続き、仕方ないので、整骨院や整体院に行く。
一時的には良くなるが、しばらくすると、再発や悪化のため再び通う。
これを繰り返す。
私自身、ヨガと出会うまで、長年こういう生活を繰り返してきました。
こういうときに、ヨガのインストラクターに何ができるか?
ここまで、深層筋について見てきました。
深層筋を鍛えることで、さまざまな体のちょっとした不具合(不定愁訴)が改善する可能性がある。そういうことも分かってきました。
私自身、ヨガと出会っていなければ、今頃どうなってただろう?そう思うくらい、ヨガに救われました。
しかし、ヨガでも、ピラティスでもできないことがあります。
動きの悪い関節があっても、その前後の関節が代償して動いてくれることで、「形」を作ることはできます。
でも、動かない関節はずっと動かないまま。
代償により、他の関節や筋肉に負担が掛かったり、間違った身体の使い方が脳にメモリーされてしまいます。
そこでヨガと整体をうまく組み合わせる。
両者を組み合わせることで、お互いのデメリットを補い合うことが可能です。
ヨガやピラティスではどうしてもうまく動かない部分に、少しだけ整体の手技を加えることで、動きのきっかけを作ってあげます。
整体で改善しても再発してしまうのは、深層筋などの筋肉不足や、筋肉のアンバランス、骨格のアライメント異常などが原因となっていることが多いです。
ヨガ的なアプローチで、筋肉を強化し、体の使い方や、生活習慣にまで介入します。
持続的な健康を探求します。
医療との架け橋になれるか!?
でも、忘れてはならないのは、ヨガインストラクターは、治療家ではないということ。
もちろん体に関する知識は十分に活かすけれども、「何かおかしい」と感じる知識と経験を身につけ、そう思ったときに、クライアントさんに病院で検査してきてもらうという選択肢を、常に用意しておくこと。
これがとても大切だと思っています。
私自身、ヨガの最中に半月板を切断し、MRIを撮ったのが半年以上先になったこと。
また、仙骨周辺にアプローチするパーソナル・ピラティスを、1年以上受けていたにもかかわらず、精密検査で、腰仙関節の椎間板がほとんど存在していないこと、さらに軽度の椎間板ヘルニアが出ていることが、後になって分かったこと。
こういったことを経験しました。
いずれも、もっと早くに精密検査を受けるべきでした。
西洋医学的なアプローチが遅れることで、症状を悪化させたり、手遅れになってしまう可能性さえあります。
ヨガ講師や整体師にできることと、医師や理学療法士が関わるべき内容は、異なります。
医療と、エクササイズやコンディショニングの架け橋となるべく、今後も活動を続けていきます。
コメント